「海外でフリーランスで働くときにビザって必要ないの?」
「フリーランスのためのビザってどうやって取るの?簡単に取れる?」
「ビザを取りやすい国はあるの?」
海外でフリーランスをしてみたいと思っても、初めての海外だとビザの条件や取り方がわからなくて一歩踏み出す勇気が出ませんよね。
実際、私も海外に行く前はビザ自体どんなものなのかも分かっておらず、働くために必要な知識がなくて困っていました。
そこで、本記事では私のそんな経験を活かして、今から海外でフリーランスをする方に向けて、ビザの条件や取得方法を徹底解説します。この記事さえ読めば、海外でのフリーランス生活が現実的になり、前向きに海外生活の準備ができます。
そもそもビザってなに?海外でフリーランスをするならビザが必須
- 働くためのビザの種類は国によって違う!
- 働けなくなるのでビザは早めの申請を!
- 職種に制限がある場合もあるので注意!
ビザは、海外に入国する際の入国許可証のようなもので、査証と呼ばれることもあります。
日本のパスポートがあれば、ビザなしでシェンゲン協定加盟国に旅行に行くことができますが、長期で滞在したり現地に住んで働いたりする場合はビザが必ず必要です。
そのため、旅行目的ではなく海外に住んでフリーランスとして働きたいなら、ビザを取る必要があります。
私はドイツに住みながらフリーランスライターをしていますが、ワーキングホリデービザを取得したあと、期限が切れたのでフリーランスビザに切り替えました。
働けるビザは年数や職種が決まっていることも多いので、しっかり調べてライフプランに合わせたビザを取得することが大切です。
ビザを取りやすい国はある?海外のフリーランス事情
ビザの取得方法を確認する前に、どの国に行くか決まっていない方のために各国のフリーランス事情を紹介します。
フリーランスが多い国やフリーランス向けのビザを用意している国であれば、初めての海外移住でもスムーズにスタートできます。
ヨーロッパやアメリカなど主要な国のフリーランス事情を詳しく解説するので、ぜひ国選びの参考にしてください。
オランダやドイツなどヨーロッパ
EUのフリーランス人口は2,766万人ほどとなっており、全体の13%程度ということがわかります。
一方、内閣府の調査では日本でフリーランスとして仕事をしている人は300〜350万人程度ということがわかっており、人口の約5%程度と非常に少なくなっています。
出典:statista”Number of self-employed people in the European Union from 2002 to 2022”より
このように、ヨーロッパには多くのフリーランスがいますが、中でもオランダやドイツはビザのハードルが低くておすすめです。
オランダでは、自営業者ビザ(ZZPビザ)があり、事業を始めるためのハードルが比較的低いのが魅力です。
ドイツにはフリーランス向けのビザがあります。特に、私が住んでいるベルリンには音楽家などのためのアーティストビザもあって、フリーランスが過ごしやすい国だと感じます。
アメリカ
日本経済新聞によると、2022年時点でアメリカのフリーランス人口は6000万人で、働いている人の4割を占めています。
一方、日本は人口の約5%程度なので5倍以上フリーランスがいることになります。
アメリカは終身雇用がなく、実力重視なこともあり、フリーランスが働きやすい環境が整っている国の1つです。
アメリカでのフリーランス活動は魅力的ですが、ビザ取得は簡単ではありません。ビザの種類によって条件が異なりますが、一般的にはビジネスビザや特定の専門性を持つ方向けのビザが必要です。
シンガポールやマレーシアなど東南アジア
マレーシアでは、ノマドワーカーやフリーランスのための仕組みが増えてきており、MM2Hビザ(マレーシアの長期滞在プログラム)に加えて、2022年からはDE Rantau Nomad Passと呼ばれるフリーランス向けのビザの発行も始まっています。
コワーキングスペースも増えてきていて、フリーランスが働きやすい環境が整っています。
シンガポールでは、EntrePassと呼ばれるビジネスビザがあり、起業家やフリーランスが利用可能です。また、英語が公用語のため、現地の言葉を学ぶ必要がないのもメリットといえます。
海外でフリーランスとして働ける主なビザの種類
海外でフリーランスとして働けるビザは国によって異なりますが、主なビザの種類は以下のようになっています。
ワーキングホリデービザ | 就労ビザ | フリーランスビザ | 学生ビザ | |
---|---|---|---|---|
申請できる人 | ・同じ国でほかの長期滞在ビザを取っていない人 ・30歳以下の人 |
・現地企業で採用された人 ・現地で仕事がある人 |
個人事業主やフリーランスとして働く人 | 現地の学校に入学する人 |
労働条件 | 同じ企業で最長6ヶ月働ける | 副業は企業の判断で決まる | 違う職種で働けない | 日数や報酬の上限あり |
ビザの取りやすさ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
また、この他にも国によってはさまざまな種類のビザを用意しており、申請する条件や労働制限が変わります。
細かく条件が決まっていることが多く、海外での生活の仕方や今後のライフプランに合わせて選ぶことが大切です。
ワーキングホリデービザ【初めて海外に行くならこれ!】
- 一度も海外に行ったことがない方
- 30歳以下で長期滞在ビザを取ったことがない方
- 職種の制限なく自由に働きたい方
期間 | ほとんどの国で最長1年間 |
---|---|
年齢制限 | 30歳まで |
働く場所の制限 | 同じところに最長6ヶ月 |
給料の制限 | なし |
職種の制限 | なし |
ビザ取得難易度 | ★☆☆☆☆ |
初めて海外に行く方におすすめなのがワーキングホリデービザです。
ワーキングホリデービザは海外の文化や生活習慣などを理解するために、発行されるビザで、自由に働いたり学んだりできるのが大きな特徴です。
海外に暮らしてみて感じましたが、こんなに自由に海外で暮らせるビザは中々ないのでまだ取得したことない方はぜひ利用してみてください。ワーキングホリデービザは好きなやり方でいくらでも稼げるのがうれしいポイント。
一方で、現地企業なら最長6ヶ月と決まっており、30歳以下しか応募できないので注意しましょう。また、すでに長期滞在ビザを取った経験がある方は、すでに文化や生活様式を知っていることになり、その国ではワーキングホリデービザを取得できない可能性が高いです。
就労ビザ【しっかり現地で働きたい方におすすめ】
- しっかり現地企業で働きたい方
- 海外転職も視野に入れている方
- 安定したビザを取りたい方
期間 | 国によって異なる |
---|---|
年齢制限 | なし |
働く場所の制限 | 国によって異なる |
給料の制限 | なし |
職種の制限 | 国によって異なる |
ビザ取得の難易度 | ★★★★☆ |
就労ビザは正社員も視野に入れている方におすすめのビザです。現地の企業で採用されたり仕事を見つけたりすると、取得できることが多いですが、国によってはフリーランスとしての活動を許可される場合もあります。
ドイツを例に出すと、ドイツの就労ビザは現地で正社員として採用された場合に発行されることが多いです。週5日7〜8時間働くなど決まりもあるので、どちらかというと海外転職したい方向けのビザになっています。
国によって条件が異なりますが、長期間の滞在許可が出る確率が高く、安定したビザを取りたい方にもおすすめです。ただし、現地の企業とのつながりや現地語が必要になる可能性もあるので、取得する難易度は高めです。
フリーランスビザ【自由に働きたい方向け】
- 職種に縛られず自由に働きたい方
- フリーランスが盛んな国に行きたい方
- フリーランスとしてしっかり働きたい方
期間 | 国によって異なる |
---|---|
年齢制限 | なし |
働く場所の制限 | 国によって異なる |
給料の制限 | なし |
職種の制限 | 国によって異なる |
ビザ取得の難易度 | ★★★☆☆☆ |
国によってはフリーランスビザを取得できることがあります。就労ビザに比べて職種や採用先の企業に縛りがないことが多く、フリーランスとして自由に働きたい方におすすめです。
フリーランスビザは、フリーランスを推進していたりフリーランス人口が多い国に多く、同じ働き方の仲間ができやすいのもメリットです。
ちなみに、ドイツベルリンのフリーランスビザだと、ベルリンでクライアントを持っている証明を出す必要があります。また、申請を出した職種の仕事しかできないので、幅広くフリーランスとして働くのはやや難しいです。
しかし、比較的審査が通りやすいといわれており、多くのフリーランスがこのビザを取得しています。私も現在はこのフリーランスビザを取ってドイツに住んでいます。
就労ビザに比べると取得難易度は低いですが、ワーキングホリデービザのように誰でも取れるわけではなく、フリーランスとして仕事をすることを証明する必要があります。
学生ビザ【副業の範囲で働ける】
- 学びながら働きたい方
- 日常生活で割引や特典を受けたい方
- ワークライフバランスをしっかり取りたい方
期間 | 学校在学中のみ |
---|---|
年齢制限 | なし |
働く場所の制限 | なし |
給料の制限 | 国によって異なる |
職種の制限 | なし |
ビザ取得の難易度 | ★★★★☆☆ |
留学も視野に入れている方には学生ビザがおすすめです。学生ビザは現地の大学や大学院に入ることでもらえるビザで、アルバイトができる場合もあります。
学生ビザを取得できれば、日常生活で学生割引などを受けられるのもメリットの1つです。
ただし、学校で勉強することが主な目的のため、働く時間や稼げる金額に上限を設けている国がほとんどです。また、学校に入学するために現地の言葉を学んだり入試に向けて勉強したりする必要もあります。
フリーランスだけでなく、現地の学校で学びたいことがある方は学生ビザを検討しましょう。
語学学校ビザは、国によって学生ビザとわけられていることがあります。労働条件も異なる場合があるので、各国のサイトで情報収集をしておきましょう。
ちなみに、ドイツでは学生ビザと別に語学学校ビザがありますが、働くことが一切許可されていません。そのため、ドイツではフリーランスとして生活することができないビザです。
【ドイツでの実体験】海外でフリーランスのビザを取得する流れ
ビザの種類はわかったけど、どうやって取るのかわからない方も多いはずです。
私がドイツベルリンでフリーランスビザを取った際は、次のような流れで行いました。
1.フリーランスとしての仕事を見つける
2.ビザ申請のための予約を取る
3.ビザの要件をチェックして必要書類を揃える
4.外国人局に行って書類提出・ビザ取得
大体のビザ取得の流れを理解しておくことで、本格的に準備を開始したときにスムーズにビザ申請ができます。
特に、初めてだとビザ以外にも準備があって大変な思いをするので、事前にビザを取るときの流れをチェックしておくのがおすすめです。
【半年~1年前】フリーランスとしての仕事を見つける
まずは、日本にいる間にフリーランスの仕事を見つけておきましょう。私は日本ですでにフリーランスライターとして仕事をしていたので、そのまま引き継ぐことができました。
しかし、海外に行くとなると源泉徴収や消費税が変わってくるため、クライアントに事前に伝えておくなどの準備は必要でした。
これから新たにフリーランスを始める方は、フリーランス向けの求人サイトから案件を探すのがおすすめです。フルリモートかつ海外在住でもできる案件を見つけて、早めに応募しましょう。
現地で探すこともできますが、万が一見つからなかった場合、ビザを取得できないこともあるので、日本でいくつかクライアントを持っておくことをおすすめします。
【半年前~】ビザ申請のための予約を取る
仕事が見つかってフリーランスとして働ける見込みができたら、ビザ申請の予約を取りましょう。予約が混み合っている場合、予約が数ヶ月先になることも珍しくありません。
すでに飛行機などを取っていた場合、ビザ取得が間に合わないなんてことにもなり兼ねないので、予約はできる限り早めに取っておくようにしましょう。
ビザは現地か日本の大使館や総領事館で申請を行います。条件などを確認し、ビザ申請先のホームページから予約を取るのがおすすめです。
ちなみに、私は初回の渡航でワーキングホリデービザを取りましたが、現地に行ってから申請を行いました。ドイツの外国人局は特に予約が取れないといわれており、予約が取れたのは現地についてから3ヶ月先でした。
【3~6ヶ月前】ビザの要件をチェックして必要書類を揃える
ビザ申請のための予約と同時並行して必要書類を揃えておくのがおすすめです。私の場合は、日本にいるときにほとんどの書類を揃えておきました。
残高証明などは最新の方が良いとされていることも多いので、現地についてから準備するものもありましたが、できる限りの書類は日本で準備していました。
渡航の3〜6ヶ月から少しずつ書類を揃えていくのがおすすめです。英語や現地の言語で申請することもあるので、思ったより時間がかかります。
私は半年前から準備していましたが、何だかんだビザ申請の1週間前までバタバタしていました。
【渡航後】外国人局に行って書類提出・ビザ取得
私の場合は現地での申請だったため、ドイツについてから3ヶ月後に外国人局に行って申請を行いました。現地なので、ドイツ語や英語でのコミュニケーションで、非常に大変だった記憶があります。
私はワーキングホリデービザを申請してその場ですぐにビザをもらうことができました。しかし、ビザの種類によっては審査で時間がかかる場合があり、結果が出るまでは働けないことが多いので注意しましょう。
語学力に自信がない場合は、日本の大使館や総領事館で申請するのがおすすめです。日本でビザを取っておけば、海外に着いてすぐにフリーランスとしての仕事を始められます。
海外でフリーランスとしてビザを申請するときの注意点
海外でフリーランスビザを申請するときは、次の注意点を理解しておきましょう。
- 仕事を見つけてからビザを取得する
- ある程度の収入を証明できるようにしておく
- ビザごとの働ける条件や期間をしっかり確認しておく
私は初海外でも自力で何とかビザを取得できましたが、気を付ければよかったなと思うことがいくつかありました。
私の実体験をもとに3つの注意点を解説するので、安心して海外に行きたい方は必見です。
仕事を見つけてからビザを取得する
ビザを取得するまで働けないこともあるため、日本にいる間に仕事を見つけておくのがおすすめです。
私は何社かクライアントを持っていましたが、それでもビザを取るまでは仕事に手を付けられないことがありました。私の場合は、ドイツ語や英語の勉強、環境に慣れることに精一杯で、なかなか仕事に集中できませんでした。
とはいえ、働かないとお金がもらえません。もし、現地についてから仕事探しをするとなると、相当なストレスがかかります。
また、国によってはすでにフリーランスの仕事を持っていないと、ビザが取れないこともあるので、事前に仕事をゲットしておくことが大切です。
ある程度の収入を証明できるようにしておく
海外でフリーランスとしてビザを取るためには、ある程度の収入証明が必要になることが多いです。収入がないとフリーランスとして認められないケースがあり、貯金残高や銀行の明細取引を提出しなければいけないこともあります。
そのため、日本にいる間にできる限り貯金をしておくのがおすすめです。私は貯金を貯めていたのですが、海外に住むための初期費用で結構な額がなくなりました・・・。
ドイツだとビザ申請に必要な貯金残高は日本円で40〜60万円程度ですが、国によって異なるので事前に確認しておきましょう。
ビザごとの働ける条件や期間をしっかり確認しておく
ビザを取ってから条件や期間が合わなかった場合、仕事の幅が減るだけでなくフリーランスとして働けなくなる可能性があります。
ドイツだと、ワーキングホリデービザは職種に制限なく働けますが、フリーランスビザは基本的に申請した職種のみで、幅広く副業することはできません。
フリーランスとして海外で働きたい方は、事前に以下の内容を明確にしておくようにしましょう。
- 職種
- 大体の収入見込み
- 期間
- 仕事先(日本または現地など)
- 確定申告先
また、住民票が日本にあるなど日本居住の方は日本で確定申告を行います。しかし、完全に海外に移住する場合はその国で確定申告が必要になることがあり、事前に調べておくことが大切です。
ビザの要件を事前に調べておくことで、自分の理想とするフリーランスとしての働き方ができます。
ビザさえ取れればフリーランスで海外移住も夢じゃない!
海外でフリーランスをするためには現地で働けるビザを取らなければいけません。
国によってビザの種類は異なりますが、就労ビザやフリーランス向けのビザを発行しているところも多いので、フリーランスが働きやすい国を選ぶのがおすすめです。
ビザを取る際は早めに準備を行い、ビザ申請の予約も半年程前からチェックしておきましょう。また、仕事がないとフリーランスビザを取得できないこともあるため、仕事は日本にいる間に見つけておくことをおすすめします。
私自身、ドイツでビザを取るのは大変でしたが、そのおかげで今ドイツでフリーランスとして楽しく生活できています。ビザ取得は複雑で大変なイメージがありますが、しっかりと準備すれば問題ありません。
本記事を参考にしてビザの概要を把握し、早速ビザ準備を始めましょう。ビザを取って海外で自由にフリーランスとして生きていきましょう。